2012年2月20日月曜日

贅沢な時代

私がまだ子供だった頃は情報を得る術といえば、
TVにラジオ、新聞、雑誌くらいだったと思います。

そんな中でも80年代という時代は、TVメディアの爛熟期と
言っていいのではないでしょうか。

そんな80年代初頭、TVの画面を通して様々な情報に触れたのですが、
一番衝撃的だったのは、ドラマでもなく、ドキュメンタリーでもなく、
「コマーシャル」でした。

中でも、「資生堂」と「サントリー」は二大巨頭という感じで、
まさに、素晴らしいイメージフィルムを作り出す企業でした。

私は特に、サントリーのCMが大好きでした。

サントリーのCMからいろいろな事を知ったのですが、
特に「ローヤル」というウィスキーのCMは記憶の中に輝いている
コマーシャルフィルムです。

一本目は、「グスタフ・マーラー」の交響曲、大地の歌をBGMに
使ったものです。

初めて聴いたときは、なんて東洋的な音だろう、
しかし、作曲者の名前は西洋人のようだけど・・・。

ヴィジュアルも水墨画タッチの福禄寿のような仙人が出てきたり、
風神、雷神が出てきたり。



次はエキゾチックなBGMとともに、砂漠で曲芸をするサーカス団。
ナレーションでは、詩人「ランヴォー」について語られます。

曲芸をするサーカス団員の一種異様な風貌とエキゾチックな
曲が醸し出す妖しいヴィジュアルに、完全に画面に釘付けになったことを
思い出します。

その後早速「ランヴォー」という詩人を調べたのは言うまでもありません。




このスペインのサグラダ・ファミリアで撮影されたCMでは
アントニオ・ガウディーという建築家を知りました。



どのCMも殆ど商品の特徴など語らないのに、観ている者に
強烈な印象と余韻を残す、確かにウィイスキーのようなCMでした。

今観てもちっとも古くなっていないところが凄いと思います。

現在は商品名を連呼したものや、はっきり分かりやすいCMが多く
観る方の想像力を掻き立ててくれるものが少ないようにも思います。

それはCMというメディア上、仕方の無いことなのだと思いますが・・・。

80年代バブル経済というある種の熱狂時代、
今では考えられないくらい、贅沢で優雅なコマーシャルが
たくさん制作された時代でもあったのだと思います。

バブル時代というと、負の面しか語られませんが、
経済的に潤った時代だったからこそ生まれた文化というものがあると思います。

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