2011年7月17日日曜日

鎮魂の踊り

佃島という街をご存知ですか?

「月島」という駅が最寄の駅になるのですが、「もんじゃ」のお店が
数多くある事でも有名な東京の下町です。

下町とはいえ、銀座や築地に程近く、リバーサイド開発に伴って
高級高層マンションが続々と建設されており、昔ながらの風景と
現代的な風景が隣り合わせにある独特な景観をもった街です。

そもそも佃島(現:佃)という街は徳川家康が関東へ下降する折、
摂津国佃村(現在の大阪府大阪市西淀川区佃)の漁夫33人が江戸に移り、
砂州に百間四方の土砂で埋め立てて拡張し、築島し定住することになった島
を故郷に因んで「佃嶋」(つくだじま)と命名したとのこと。

とても歴史のあるエリアなのです。

その佃島には無形文化財として伝承されている
佃島念仏踊り」という盆踊りがあります。



念仏踊りは明暦の大火(振袖火事)で消失した西本願寺別院
の再建が起源とされていますが、また隅田川上流などで罹災した
人が漂着したことから無縁仏を弔うための踊りとして現代に伝わっています。


私は縁あって地元の方と知り合い、ここ数年「佃島念仏踊り」に
参加させて頂いています。

この踊りは独特で、太鼓と単調な唄(いかにも鎮魂の唄という音)
に合わせてシンプルな振り付けを延々と繰り返し、30分程踊っても
数メートルくらいしか進まないほどゆっくりしとした踊りです。
この振り付けがシンプルなだけに難しく、その場では出来るのですが、
一旦、それを後から踊ってみようとすると難しくて出来ません。

この踊りは無縁仏を弔うという主旨のとおり、無縁仏を弔う祭壇が組まれており、
踊る前や後に必ず、お参りをするのがしきたりです。
今年は東日本大震災で亡くなった方々の祭壇も別に組まれており、皆さん
熱心にお参りをしていました。

盆踊り大会などというと、露天が出たり、ワイワイ賑やかなものが多い
と思いますが、こんな大都会の中にひっそりと息づいている江戸の形を
そのままに留めた踊りはとても貴重なものです。

もう今年は終わってしまいましたが、江戸の空気を感じに来年あたり
出かけてみてはいかがでしょう。


「佃島念仏踊り」に関して詳しくは下記をご参照ください
http://www.bonodori.net/zenkoku/tsukudajima/tukudajima_top.html

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