2011年3月30日水曜日

はるのにおい

「あ、春の匂いがするね~」と、まだ冬枯れている2月の中旬から下旬あたりに
言い出すと決まって、親は怪訝そうな顔で「そう?」と言ったものでした。

きっと私だけではないと思うのですが、季節が変わるとその
空気の匂いも変わるんですよね。

ただ、普通はもっと日差しが暖かくなったらとか、夏なら気温がもっと
上昇してからとか、目に見える変化があると納得してもらいやすいのかも。

私は田舎の生まれなので、きっと田畑の匂いなのかなと思っていのですが、
東京に住むようになっても、田舎と変わらない「季節の匂い」がします。
それはその季節らしい景色になる少し前に漂ってきます。

まさに春なら2月の中旬から下旬にかけて、ある日突然、「あ、春の匂いがする」
と感じるのです。
今年もまだまだ寒い最中に漂ってきましたが、その匂いを感じてほっとした
ものでした。

上野の山の桜も今日か明日には開花です。
ようやく匂いに景色が追いつきました。



2011年3月28日月曜日

ねこまち

私の暮らしている辺りはいわゆる「ねこまち」です。
近所を散歩しているとよく猫に出くわします。
今はまだ寒いのであまり道で寝そべっている猫は
みかけませんが、だんだん暖かくなってくると、
あそこにも、ここにも、という感じ。

私は猫が大好きで、その自由気ままさや我儘さを愛しています。
飼われていても「野生」を感じさせてくれるところも好きですが、
まちねこはもっとダイレクトに「野生」を感じさせてくれます。




ある日出会った猫は芸大の柵の内側から身を乗り出して、
何を狙っているのやら?

2011年3月27日日曜日

それでも花は咲く

日々TVやインターネットから洪水のように様々な情報が流れ込んできて、
その情報に触れるたびに自分の心があちこちに揺れてしまいます。

最近は被災地の方々の情報より原発からの放射線に関する
ニュースでもちきりです。

放射線って放射能とどう違うの?
そしてまたそれが人体に及ぼす影響は?
それはどれくらいの量が飛散されているの?
東京への影響は?
それこそ、本当に様々な疑念や疑問が渦巻いています。

余りにも様々な情報があるし、それをいちいち自分の目や知識で
正しく判断する事は不可能だと思うとやりきれない気持ちで一杯になりました。



そんな時、ふと見たベランダの鉢植えで咲いている花に
「ああ、こんな状況でも花は咲くのだ」と、その力強さに元気付けられました。

2011年3月26日土曜日

緋寒桜

桜といえばソメイヨシノを指して言うことが一般的ですが、
桜にも様々種類があります。
今年は3月下旬になってもまだまだ冬の寒さが緩まないせいか、
ソメイヨシノの開花宣言も遅れている様子。
上野の桜の開花予想も25日から30日に修正されていました(ウェザーニュース予報)





ところで、様々ある桜の種類の中でも、見頃になっているのがこの
「緋寒桜」です。
濃い桃色、または緋色の小花を枝一杯に咲かせ、
花弁もガクも濃い桃色で俯き気味に咲く姿は艶っぽい風情の
ある桜だなと思います。
写真の色は薄く写っていますが、実際に見るともっと緋色に近い
色をしています。

沈丁花の香りも濃くなってきて、緋寒桜が枯れた山に少し
色を添えてくれています。

2011年3月25日金曜日

奏楽堂

旧東京音楽学校(現:芸大音校)の奏楽堂では毎週日曜日に
日曜コンサートを開催しています。

第一日曜・第三日曜 チェンバロ演奏
第二日曜・第四日曜 パイプオルガン演奏
午後2時~と午後3時~の2回(30分づつ)
入場料300円

その日はチェンバロ演奏の日。

丁度通りかかった時に演奏時間間近でしたし、初めて入る奏楽堂への興味もあり、
あまりクラッシックを聴く方ではないのですが、入ってみる事にしました。

明治23年に創建された建物は日本最古の木造の洋式音楽ホールとのことで、
かつては滝廉太郎がピアノを弾き、山田耕作が歌曲を歌い、三浦環が日本初の
オペラ公演をおこなったという由緒ある舞台は、復元されたシャンデリアが輝き
大正九年に徳川頼貞公がイギリスより購入したパイプオルガンが正面にその
存在感を示しています。

内部に入った途端、タイムスリップしたかのような空間で、階段の手すりすら
歴史の重みを吸って底光りをしているようです。
そんな中でチェンバロの演奏を聴いているとバロック時代にいるような感覚
になるから不思議です。
チェンバロやパイプオルガンの音というのはどうしても宗教音楽的なイメージ
があるせいか、聴いている間中何故か祈りを捧げているような気分にもなりました。



お天気の良い日曜日、ちょっと時間旅行を楽しみたいなら是非
上野の奏楽堂にお出でください。
きっと心洗われるひとときが過ごせるはずです。



そうそう、その日はなんと奏楽堂前にこんなイキモノが!


これぞ台東区のゆるキャラ「たいとうくん」
頭と体で「台」「東」・・・。
なんのひねりも無い名前ですが、なかなか愛くるしい(?)コですね。

2011年3月23日水曜日

英国王のスピーチ

震災後初めて映画館に行きました。
休映中の劇場もあると聞きますが、出来るだけ
普段通りに過ごしたい、また観たいものは観たいので
思い切って行ってきました。

昨年噂で聞いてからずっと行きたいと思っていた映画
「英国王のスピーチ」

<あらすじ>
幼少時から吃音に悩まされ、内気で強いコンプレックスに悩む
ヨーク公(後のジョージ6世)が、言語療法士の助力を得、
王位を捨てた兄の代わりに国王として見事にスピーチを
やり遂げるまでを描いた史実に基づいたドラマ。

万人にオススメできる映画です。
ストーリーはシンプルですし、コンプレックスを克服していく
過程や言語療法士との心の交流も人間ドラマとしては王道中の王道。
逆に言うと王道過ぎて意外性が無いとも言えるかもしれません。
英国王室という閉ざされたやんごとなき世界の中の物語ですが、
そのようなクラスの人も悩みは普通の人と変わらない(というかより深いとも言える)
のだなと思いました。

また、この映画は言葉を楽しむ映画なのだと観ていて強く感じました。
私がイングリッシュ・スピーカーなら百倍は楽しめたのだろうと思います。
これは「ソーシャル・ネットワーク」を観た時にも思った事ですが、
英語のニュアンスや皮肉、言い回しはやはりその言葉を深く理解して
いればこそ、楽しめるのであって、やはり字幕では限界を感じてしまいました。

ただ、この映画アメリカでは確か子供は観ることができないとか。
それは劇中に結構NGワードが出てくるからだそうで・・・。
確かに王室の方がこんなワードを言うの?というシーンが出てくるのですが、
それがまた本当にせつなくも可笑しい(どれだけ抑圧的な中で生きているのか・・・)
でも、そういうワードが出てきたとしても、私はこの映画こそ子供に観て欲しい。
いろいろなコンプレックスに悩まされている子や抑圧の中にいる子にこそ
こういう映画は必要だと思いました。

とはいえ、私の中ではコリン・ファースの出演作としては
「シングルマン」の方が断然好みです!

2011年3月22日火曜日

さくらさくまでさくらもち

一歩一歩の歩みというには余りにちっぽけな歩みですが、
ここのところ滞っていた更新を再開してみる事からはじめてみます。




この桜餅(道明寺)は近所にある「桃林堂」のものです。
青山店が有名かもしれませんが、上野の山にもございます。

購入してから(もちろん食べたのも)既に二週間以上経過してしまいました。
3月上旬、お天気もよく春がすぐそこに来ているな~と思える暖かい日でした。
ただ、まだ桜の開花には早く、梅が見ごろの時期でした。
そんな散歩の途中にお店の張り紙に「桜餅」の文字。
もちろん、素通りはできません。
早速買って帰り暖かい緑茶と共に味わいました。

たしか、桜の柄の着物は桜が咲くまでに着るべしという掟(?)があるそうです。
本物のの花と競ってはいけないという事らしいです。
そんな日本人の粋な伝統や習わしは受け継いでいきたいですね。

桜餅は桜が咲くまでに味わってしまいないさい、という事では無いと思いますが、
もうすぐ来る桜の季節を思い、桜が咲くまで桜餅で楽しみましょう。

お祈り申し上げます

東北関東大震災から早くも10日以上経過してしまいました。
震源地より数百キロも離れていてなお、今まで経験の無い程の
揺れを体験しました。

先週は仕事も前半は開店休業状態だったり、また後半からは自宅待機に
なり、頭も行動も空白な一週間になってしまいました。
情報はネットから洪水のように流れてきましたが、余りに様々な意見や論評、
風評などで、いったい自分が何を信じていいのか、また今何をやるべきなのか、
迷い、揺れた日々でした。

10日余り経過して今思う事は、背伸びをしてもしょうがないということ。
今自分が出来る事を足元から一歩一歩やっていくしかないということ。
この気持ちを継続して持ち続ける事が、本当に重要なのだと思いました。

被災地では、被災された方々が悪環境の中、忍耐されている、そして
復旧作業や被災者のために働かれている全ての方々の努力、本当に
頭が下がります。
きっと復興もまた一歩一歩の歩みなのだと思います。

もう震災前には戻れません。
進むしかないのが歴史であり人間の生なのだと思えば、「禍福は糾える縄の如し」
というようにこの災禍をも福になすような生き方、選択をする事が出来たらと思わずには
いられません。

今回の震災で被災された方々には一日も早く安心して過ごせる日がきますように。
また、お亡くなりになった方々の魂が安らかならんことをお祈り申し上げます

2011年3月6日日曜日

春を探して

ヴァレンタインデーに珍しく山が雪に覆われた2月から半月以上、
桃の節句も過ぎ、三寒四温の言葉通りだんだん春めいてきているようにも
思われます。

まだ気温は低いですが、日差しが春めいてきているので、近所をブラブラ
してみることにしました。

寛永寺と並んで好きなお寺「護国院」
こちらは寛永寺の子院でもあり、正式名称は「東叡山護国院大黒天
名の通り、大黒天様が祀られております。




このお寺が好きな理由はお寺の門から見える景色の綺麗さ尽きます。
一番最初にこちらに伺った時は桜の季節でして、
こじんまりしたお寺ですが、その庭の設えは華美過ぎない優雅さがあり、
それはもう本当に絵画のような美しさでした。
今はまだ花の季節では無いので、少し寂しい感じはありますが、
あと半月もしたら、きっとその華やかな面を見せてくれるでしょう。




ふと覗いた手水の中に椿の花が浮いていました。
椿が散ったあとは本格的な春の訪れですね。