2012年8月8日水曜日

ローマ法王の休日


【あらすじ】
ローマ法王逝去により新しい法王を選ぶための法王選挙(コンクラーヴェ)が
開催された。各国から集まる枢機卿たちは「どうか私が選ばれませんように!」
と心の中で祈っていた。
そんな中選出されたメルヴィル。すぐさまバルコニーに出て大観衆の前で演説
をしなければならなかったが、極度のプレッシャーから逃げ出してしまい!?

映画を観に行くと本編が始るまでこれから上映予定作品の予告編が放映されます。
私はこの予告編も大好きで、その予告編からその作品に対して様々な
想像を巡らすわけです。
各所繋ぎ合わせられたシーンの断片から、想像力が膨らんでいく
楽しさは、本編の楽しみとはまた別の面白さ、楽しさがあると思います。

ただ、その予告編のなかで、たった数分の予告編なのに、その作品の
ラストまで分かってしまうようなものもあります。
いわゆる予定調和な作品。

こういう性格の登場人物で、こんな事がきっかけで物語が始り、
だいたいこんな感じで話が転がっていき、で、結末はきっとこうなるかもね・・・。
という感じ。

で、そんな作品かも・・・と思いつつも、期待して観てみて、その想像から
1ミリもズレることなく、想像通りの作品だった時のあの「まあ、そうですよね・・・」
という何ともいえない拍子抜けというか、落胆する気持ち。

駄作というわけではないのです。
作品として素晴らしいとも思うのですが、やっぱり私の想像の範囲内という
作品はどうしても、ちょっとだけがっかりする気持ちが湧いてしまうのです。

例えば、アカデミー賞受賞作の「英国王のスピーチ」は、
まさにそんな作品のひとつ。
このBlogでもレビューしましたが、本当に良いお話だったし、いろいろ示唆的
なエピソードが含まれている作品だと思うのです。
が、徹頭徹尾予告編を観た時に想像した通りの作品だっただけに、ちょっと
「あ、そうですよね、そうなりますよね・・・」という気持ちになったのでした。

ところで、この「ローマ法王の休日」
予告編を観たときは、ああ、きっと数十億人と言われるカソリックの頂点に
立つプレッシャーに耐えかねた新法王様が逃げ出して、街をさまようなか
人々の暖かさに触れ、気を取り直し法王となることを決意するーというような
お話なのね。と思ったのですが・・・。

これがもう全く驚くほど全然違っていて本当にビックリしました!

こんなに予想が裏切られる事もないくらい驚いてしまって、観終わった後、
呆然としてしまいました。

しかし、私はこの作品がとても面白かったです。
最初は予想に近いコメディタッチな描写もそこかしこに
差し挟まれていて、クスクス笑いながら軽い気持ちで観ているのですが、
面白いシーンなのに、法王様のことを周囲は全く理解してくれないことに、
どんどん切なくなるのです。

ラストは本当にえ!というようなびっくりする結末なのですが、
私個人としては、この結末で良かったと心底思うのです。

やはり善(正義)なるものを背負わされる事というのは何と
辛いことなのかということをしみじみ思わずにはいられません。

実は、先日「ダークナイトライジング」を観たのですが、その時も
正義を背負う事の辛さと苦悩を思っていたところでしたので、
奇しくも同じようなテーマの映画を続けて観たことになりました。


それにしても、この作品をよくヴァチカン(カソリック)が許したものです。
特に結末は、かなり物議を醸しそう。

ラストは物議を醸すかもしれませんが、私はこのラストに清々しさ
さえ感じてしまいました。


※「ダークナイトライジング」については盛りだくさんな内容でしたので、
  もう一度観てからレビューしようと思っています。

ローマ法王の休日
http://romahouou.gaga.ne.jp/

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