2012年8月27日月曜日

Growth

以前このBlogで書いた事があると思うのですが、
私は植物を育てるのが苦手です。

綺麗な薔薇の鉢植えを貰ったときは、とっても嬉しかったのですが、
水遣りの量やタイミングが分からなかったり、外に出すのもおっかな
びっくりしていて、余り長く咲かせておくことが出来ませんでした。

そんな私ですから「茶色の指」を持ってるからね~
と自嘲的に言って鉢植えなどを自ら買うことは殆どありませんでした。

友人宅などに行くと、観葉植物がたくさん置いてあり、
綺麗な緑の葉を元気に繁らせているのを見て羨ましくなります。

道を歩いていても、綺麗に花を咲かせているお宅の庭先や、お寺などの
美しく丹精された庭に、目の保養をさせてもらっています。

植物は誰かが育てたものを眺めるのが一番。

そう思ってきたのですが、昨年の秋立ち寄ったビルで開店7周年の
記念品として配布していた小さな「パキラ」をもらいました。

本当に小さかったし、どうせすぐ枯れてしまうんだろうなと思いつつ
部屋の隅に飾っておきました。

最初は余り気にもとめなくて水遣りも一週間忘れたりしていました。

そんな風におざなりにしていたのですが、数週間後ふと見てみると、
新芽が出ているのです。
とはいえ、そんなに気にも留めずにやはり殆ど放置していました。

しかしその新芽はどんどん育って綺麗な緑の葉になったのです。

(最初は樹皮のある部分の先端に小さい葉が四枚ほどでした)

そうなってくると少しは関心が向くというか、少し気にして水遣りを
してみたり、窓際の陽のよく当たるところに移動してみたり。

ただ以前友達に過保護にするから植物が駄目になるんじゃないの?
というアドバイスを貰っていた事を思い出したのでした。

確かに、気にしすぎて水遣りを頻繁にしてしまったり、部屋の中だけに
置いておいてしまったり・・・。

やはり植物も人間関係と一緒でタイミングや距離感が大切なのかもと
今は思っています。

今回は最初から余り気に掛けすぎず適度な距離感を保てたのが
吉と出たのかもしれません。

今では少し大きい鉢に植え替える程沢山の葉を繁らせてくれて、
元気な緑に癒されています。

ただ、このパキラどこまで大きくなるのやら・・・。
また鉢を買わなければならないかも?

※パキラは比較的育てやすい植物なので私の苦手意識を取ってくれるのに
  丁度良かったのかもしれません。

2012年8月24日金曜日

ヘッドハンター


【あらすじ】
優秀なヘッドハンターだが背が低い事がコンプレックスなロジャーは
美しい妻を喜ばせ贅沢な生活をするため、裏稼業として美術品窃盗を繰り返していた。
綱渡りながらも優雅な生活を送っていた彼だったが、ある出来事をきっかけにどんどん
追い詰められていくことに・・・。

今年2作目のノルウェー映画。
前回観た作品は「孤島の王」は、どこまでも寒々しく、重々しく、淡々と凄惨な描写が
続いていく悲劇の物語でした。

北欧映画と一括りにするのはいかがなものかとは思いますが、
スウェーデン映画の「ぼくのエリ」や「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」などは
やはり、「孤島の王」と同じく、シリアスでダークな色合いの強い作品でした。

それ以外でも、15年くらい前に観たフィンランド映画「浮き雲」なども、
物語の大半が淡々とした救いの無い描写で占められ、観ているこちらが
遣り切れなくなってくるといった作品でした。
(しかし、この作品は素晴らしいオチが付くので、救われるのですが)

さらにさらに、今年どっぷりハマりまくっている(現在進行形)「TTSS」も
監督はスウェーデン人であり、その作風はやはり英国作品ではあっても、
北欧色の強い作品だなと思っています。

というように、北欧系映画=暗い、重い、寒い、淡々というイメージが強く
ついてしまっていました。

が!が!が!

ここに来て、全く新しい北欧映画が登場しました!

ジャンルとしてはサスペンススリラーという事になるのでしょうが、
最初は優秀でしたたかな主人公が一転どんどん追い込まれてからの
展開のむちゃくちゃぶりが、本当に凄すぎてハラハラドキドキの連続!
そして、全編に散りばめられた伏線が見事に回収される様は快感です。
(※劇中なかなかの過激シーンがあるので苦手な方はスルーした方が良いかも・・・)

確かに若干ご都合主義的な展開もあるのですが、スリリングに描かれ
いるだけに、余り興ざめな感じはしないのです。

こんなに面白いエンターテイメント作品が北欧にあったのか!と
驚くと同時に今後もいろんなタイプの北欧系映画を観る事が出来たらと
思いました。

とはいえ、実はこの作品、こんなに優良作品にも関わらず、
1館、二週間限定レイトショーのみという物凄く短い上映期間なのです・・・。
(実は今日で上映が終わってしまいました)
しかも、フィルムではなくブルーレイでの上映。

できればもっと長く上映して広くいろんな方々に観て欲しかったなと思います。

しかし、洋画が上映されにくくなっている昨今、ハリウッド作品でさえDVDスルー
される現状を思えば、2週間だけでも上映された事を喜ぶべきかもしれません。

もうすぐ上映は終わってしまいましたが、もしDVDで発売&レンタルされる事が
あれば、観て損は無い作品、おすすめです!

※どうもハリウッドリメイクが決定したようです。
※邦題は「ヘッドハンター」ですが、これ原題の「ヘッドハンターズ」の方が良いと思います!
  というのも意味の違うヘッドハンターが2人出てくるからです。

見慣れた街の見慣れぬ景色

お盆も過ぎてすっかり8月も終盤です。

グラスの中に溶け残った夏という季節の濃さを思わせるような
気温と湿度は身体に堪えます。

これからまだ残暑が厳しくなるのかと思うとちょっとうんざりしてしまいます。

話は遡って7月上旬、度々録画した映画やドラマをダビングして貰っている
友人宅に遊びに行く際、ちょっとしたお礼の品を用意し、その粗品に感謝の
メッセージをポストカードに書いて添えました。

気を使わないで!と恐縮した友人でしたが、持って行った品も勿論喜んでくれた
のですが、それ以上に添えたポストカードを気に入ってくれたのでした。

私が添えたポストカードとは「相田諒二」氏という新潟在住の写真家のもの。

確か20年程前だったでしょうか、私の大好きな古町の雑貨屋さんで見つけて
購入したのでした。

その写真には実際の風景とはまた違った趣のアングルと色味と輪郭で
彩られた新潟の街が映し出されていました。

写真家の方の作品にはそれぞれその1枚で多層的な物語を語る力が
あると思っています。
ずっと眺めていると、こういう人物が住んでいて、こんな曲がバックに
流れていて、こんな匂いが漂っていて・・・そしてこんなドラマティックな
物語が紡がれていくのでは・・・というような感じ。

相田氏の写真もまさにそんな作品です。

見慣れた街の風景なのに、全く別の街がそこには映し出されていたのです。

え、あそこがこんなにドラマチックな顔を持っていたなんて!
何だか安心しきった関係の中に急に不穏なまでにスリリングな瞬間を見せられて
戸惑うような、それでいてときめきにも似たような変な感覚に囚われたのでした。

そんなことを思った頃から時を経て、少しづつ少しづつ使ってきたポストカードが
残り少なくなって来た今、友達から「とっても気に入ったので今度帰省した時に
購入して来てくれない?」との申し出。

私も丁度残り少なになっていたこともあり、自分の分もと思い古町に出かけました。

以前購入した雑貨屋さんがお店を閉じられた事は何となく知っていたので、
きっと、ここにはあるかも?無くても何かしら相田氏の情報を知っていらっしゃるのでは?
と思い、伺ったのが以前このBlogでもご紹介した
hickory03travelers」という雑貨屋さん。

こちらはオリジナルデザインのTシャツや小物、雑貨類を扱っているお店ですが、
それが新潟に関連した素材やデザインなのです。
(県外の作家さんのものも扱っています)

ですので、きっと相田氏のポストカードも扱っているに違いない!と当たりをつけて
伺ってみたのでした。

それにしても、突然「相田諒二さんのポストカードを扱っていますか?」という私の
問に、最初はびっくりしていたスタッフの方でしたが、すぐ分かってくださいました。

しかし、私が以前購入した雑貨屋さんがお店をたたむ時に、在庫としてあった
ポストカードを受け継いのですが、仕舞い込んでしまっていてちょっと所在が
分かりません・・・とのご返答。

お忙しい中、探して下さっただけで十分でしたので、ちょっと残念でしたが、
また機会があったら購入したいですとお話してお店を後にしました。

そして帰宅しようと歩いていると後ろから急に声をかけられました。
驚いて立ち止まると、そこには先ほどのスタッフの方が!

「ポストカードありました!」

物凄く暑い中を、息を切らせて走って追いかけて下さった事にも驚きましたが、
私がお店を後にしてからも品物を探して下さった事に本当に感激してしまいました。

そしてまたお店に戻り、友人の分と自分の分の2セット無事購入できました。
(丁度在庫が2セットしかなかったのも奇跡的!)

相田氏の新潟の街に向ける視線の新鮮さと、雑貨店のスタッフの方の
お客様に対する誠実さに、暑さを忘れて清々しい気持ちになりました。



今回は街歩きをする時間が無かったのですが、このほんの数十分の
やり取りでまたこの街の持つ魅力を感じさせてもらいました。

2012年8月8日水曜日

ローマ法王の休日


【あらすじ】
ローマ法王逝去により新しい法王を選ぶための法王選挙(コンクラーヴェ)が
開催された。各国から集まる枢機卿たちは「どうか私が選ばれませんように!」
と心の中で祈っていた。
そんな中選出されたメルヴィル。すぐさまバルコニーに出て大観衆の前で演説
をしなければならなかったが、極度のプレッシャーから逃げ出してしまい!?

映画を観に行くと本編が始るまでこれから上映予定作品の予告編が放映されます。
私はこの予告編も大好きで、その予告編からその作品に対して様々な
想像を巡らすわけです。
各所繋ぎ合わせられたシーンの断片から、想像力が膨らんでいく
楽しさは、本編の楽しみとはまた別の面白さ、楽しさがあると思います。

ただ、その予告編のなかで、たった数分の予告編なのに、その作品の
ラストまで分かってしまうようなものもあります。
いわゆる予定調和な作品。

こういう性格の登場人物で、こんな事がきっかけで物語が始り、
だいたいこんな感じで話が転がっていき、で、結末はきっとこうなるかもね・・・。
という感じ。

で、そんな作品かも・・・と思いつつも、期待して観てみて、その想像から
1ミリもズレることなく、想像通りの作品だった時のあの「まあ、そうですよね・・・」
という何ともいえない拍子抜けというか、落胆する気持ち。

駄作というわけではないのです。
作品として素晴らしいとも思うのですが、やっぱり私の想像の範囲内という
作品はどうしても、ちょっとだけがっかりする気持ちが湧いてしまうのです。

例えば、アカデミー賞受賞作の「英国王のスピーチ」は、
まさにそんな作品のひとつ。
このBlogでもレビューしましたが、本当に良いお話だったし、いろいろ示唆的
なエピソードが含まれている作品だと思うのです。
が、徹頭徹尾予告編を観た時に想像した通りの作品だっただけに、ちょっと
「あ、そうですよね、そうなりますよね・・・」という気持ちになったのでした。

ところで、この「ローマ法王の休日」
予告編を観たときは、ああ、きっと数十億人と言われるカソリックの頂点に
立つプレッシャーに耐えかねた新法王様が逃げ出して、街をさまようなか
人々の暖かさに触れ、気を取り直し法王となることを決意するーというような
お話なのね。と思ったのですが・・・。

これがもう全く驚くほど全然違っていて本当にビックリしました!

こんなに予想が裏切られる事もないくらい驚いてしまって、観終わった後、
呆然としてしまいました。

しかし、私はこの作品がとても面白かったです。
最初は予想に近いコメディタッチな描写もそこかしこに
差し挟まれていて、クスクス笑いながら軽い気持ちで観ているのですが、
面白いシーンなのに、法王様のことを周囲は全く理解してくれないことに、
どんどん切なくなるのです。

ラストは本当にえ!というようなびっくりする結末なのですが、
私個人としては、この結末で良かったと心底思うのです。

やはり善(正義)なるものを背負わされる事というのは何と
辛いことなのかということをしみじみ思わずにはいられません。

実は、先日「ダークナイトライジング」を観たのですが、その時も
正義を背負う事の辛さと苦悩を思っていたところでしたので、
奇しくも同じようなテーマの映画を続けて観たことになりました。


それにしても、この作品をよくヴァチカン(カソリック)が許したものです。
特に結末は、かなり物議を醸しそう。

ラストは物議を醸すかもしれませんが、私はこのラストに清々しさ
さえ感じてしまいました。


※「ダークナイトライジング」については盛りだくさんな内容でしたので、
  もう一度観てからレビューしようと思っています。

ローマ法王の休日
http://romahouou.gaga.ne.jp/