2012年11月8日木曜日

時間が醸すもの

街で面白いものやピンと来たものを見つけたり、自分で何かを作ったり、
映画を観たり、読書したり、何かをインプットするとBlogにはアウトプット
しやすいですよね。

でも、何故でしょうか、ここ2か月いろいろインプットしていたはずなのに、
一切アウトプットする気力が湧いてきませんでした。

今日あった事を今日のうちにアウトプットするのはネタも新鮮ですし、
その時ビビットに感じた気持ちをストレートに表現できます。

しかし、先日のエントリーのネタもちょっと前のもの。
実際にパンを作ろう!と思い立ってから実際に形になるまでというのは
結構時間がかかるものですし、実際に行動している時ってそれを
文章としてまとめられないもののような気がします。
(これは自分が不器用なせいですが)

ところで、パンを作る前に他にも自作に挑戦したものがあります。

それは「ラム・レーズン

ラム・レーズンを使ったお菓子が大好きで、秋から冬にかけて売り出される
ロッテの「ラミー」というチョコレートは毎年待ちにまっているもののひとつ。

その他にもアイスクリームやパウンド・ケーキなどラム・レーズンが入っている
ものには目がありません。

しかし、自分でそのそのラム・レーズン自体を作ろうと思った事はありませんでした。

それが、夏の終わり頃お邪魔した友人宅で、自家製ラム・レーズンが入った
料理を出して貰い、さらに8年前に漬け込んだという貴重なラム・レーズンを試食
させて貰った時、絶対自分でもやってみよう!と思ったのでした。

確かに作り方は超簡単で、干しブドウとラム酒を購入し、
密閉容器に入れて漬け込むだけ。

ですが、友人のアドバイスによると、普通にスーパーなどで売っている
干しブドウはオイルコーティングがしてあるので、出来ればオイルフリー
のものを使った方が良いよと。

早速上野のアメ横でオイルフリーの干しブドウを購入。
※アメ横ってお魚のイメージですが、乾物やハーブ、お茶などのお店も沢山あります

ラム酒はメジャーなマイヤーズ。

500グラムの干しブドウを2瓶に分けて漬け込みました。
漬け込んだのは9月25日。


それにしても、時間をかけてゆっくり漬け込むはずが、瓶をみているとついつい
味見してみたくなるのです。

結局誘惑に負けて1日経った(早過ぎです!)ものを一粒食べてみると
かなり強いアルコールの味がラムに浸みこんでいます。

まだまだまろやかさとは遠い味。
でも意外にこういう強いラムの風味も嫌いではありません。

あ!これはバニラ・アイスクリームにかけて食べると絶対に美味しい!
と思ってしまい、後日実際に試してみたのは言うまでもありません。

案の定普通のラクトアイスのバニラアイスクリームがラム・レーズンを
かけるとぐっと大人で風味豊かなデザートに変身しました。

しかし、私が目指すのはラム酒にレーズンのまろやかさが加わって、
レーズンにはラムの芳醇な香りと濃厚な風味が加わること。

こればかりは、時間の経過を待つしかありません。

1瓶目はつまみ食い用にしてしまいましたが、2瓶目はじっくり待って
時間が醸した豊饒な味を堪能したいものです。

Blogネタも時間を経る事によって味わい深い内容にならないかな~。

2012年10月29日月曜日

空きすぎて秋


気付けば最後の更新はめちゃくちゃ暑い!夏だった頃。
間が空きすぎてすっかり肌寒い秋も深くなりつつある今日この頃。

全くBlogを更新せずに過ごした2か月。
特に何かに忙殺されていたわけでは全くなく、
ただただ自分から何かを発信するのが億劫になっていただけ。

そんな2か月の間にもいろいろと季節だけでなく変化はあるわけで、
新に始めてみた事も。

料理(惣菜系)は作ることも好きでしたが、
分量をきっちり計ったり手順通りにしないと失敗しやすい
お菓子は子供の頃に失敗して以来、私には向かないと諦めていました。

しかし、友達にライ麦パンの簡単なレシピを紹介してもらったのを
きっかけに、自分でもやってみよう!と一念発起。
材料がシンプルなもの手伝って、作ってみることに。

パンはお菓子同様計量と手順など目分量ではダメ。
きっちり計って、手順も間違えないように・・・。
慎重に慎重に・・・。

慎重にしすぎる余り、計量と手順にこだわり過ぎて生地の
状態がどうなったら次のステップに行くべきか、全く見失って
しまったのです。

結果、出来上がったものは、中身はずっしりしっとりしているのですが、
外側の皮がかなり固め。

レシピもシンプルな手順説明でしたので、その辺がよく分からなかった
のも敗因でしょう。

いつもなら、やっぱり自分にはこういう種類の調理は苦手なのだと
諦めて、二度と手を出さない事にするのですが、何故か今回は
負けん気に火が付いたというか、絶対美味しいパンを自分で作りたい!
と思ってしまったのでした。

それから自分なりに失敗した点や改善策を考えたりした結果、
結局「発酵」が上手く出来なかったのだと結論。

さらに、他の友人からのアドバイスによるとライ麦はもともと余り膨らまない
ので、ビギナーには余り向かないかも、もし作るならこんなパンからどう?
と初心者向けのレシピ本を貸してくれました。

余り分量や手順にこだわり過ぎるより、パンはTry&errorなのだから、
何度も作って自分なりに生地の状態や発酵具合を体得するべきなのよ
とアドバイスも受けました。

借りたそのレシピ本がまたとっても判りやすく、またパンと街に
まつわるエピソードのエッセイが楽しいものでしたので、意気込み過ぎるのではなく
肩の力を抜いて挑戦する事が出来たように思います。

そのレシピはシンプルでありながら基礎の部分はきちんと解説してあって、
私にはとても分かりやすくて作りやすいものでした。

そして、出来上がったのがこちら!
カッテージチーズ入りクレセント・ロール

粉と数種類の材料だけで、あっという間にこんな美味しいパンが
自分の手で作れるんだ!という事に素朴に感動しました。

この小さな成功体験を少しづつ積み重ねていくことで苦手意識が
取れてきて上級者向けのパンを焼ける日が来たらいいな~と思っています。

本当はもうひとつ発酵させるシンプルな丸パンを作ったのですが、
そちらはちょっと形がイマイチなので、今度きちんと出来た時には
またご報告します。
(形は悪くても発酵は上手くいったと思うし、焼き上がりも上々でした)

2012年8月27日月曜日

Growth

以前このBlogで書いた事があると思うのですが、
私は植物を育てるのが苦手です。

綺麗な薔薇の鉢植えを貰ったときは、とっても嬉しかったのですが、
水遣りの量やタイミングが分からなかったり、外に出すのもおっかな
びっくりしていて、余り長く咲かせておくことが出来ませんでした。

そんな私ですから「茶色の指」を持ってるからね~
と自嘲的に言って鉢植えなどを自ら買うことは殆どありませんでした。

友人宅などに行くと、観葉植物がたくさん置いてあり、
綺麗な緑の葉を元気に繁らせているのを見て羨ましくなります。

道を歩いていても、綺麗に花を咲かせているお宅の庭先や、お寺などの
美しく丹精された庭に、目の保養をさせてもらっています。

植物は誰かが育てたものを眺めるのが一番。

そう思ってきたのですが、昨年の秋立ち寄ったビルで開店7周年の
記念品として配布していた小さな「パキラ」をもらいました。

本当に小さかったし、どうせすぐ枯れてしまうんだろうなと思いつつ
部屋の隅に飾っておきました。

最初は余り気にもとめなくて水遣りも一週間忘れたりしていました。

そんな風におざなりにしていたのですが、数週間後ふと見てみると、
新芽が出ているのです。
とはいえ、そんなに気にも留めずにやはり殆ど放置していました。

しかしその新芽はどんどん育って綺麗な緑の葉になったのです。

(最初は樹皮のある部分の先端に小さい葉が四枚ほどでした)

そうなってくると少しは関心が向くというか、少し気にして水遣りを
してみたり、窓際の陽のよく当たるところに移動してみたり。

ただ以前友達に過保護にするから植物が駄目になるんじゃないの?
というアドバイスを貰っていた事を思い出したのでした。

確かに、気にしすぎて水遣りを頻繁にしてしまったり、部屋の中だけに
置いておいてしまったり・・・。

やはり植物も人間関係と一緒でタイミングや距離感が大切なのかもと
今は思っています。

今回は最初から余り気に掛けすぎず適度な距離感を保てたのが
吉と出たのかもしれません。

今では少し大きい鉢に植え替える程沢山の葉を繁らせてくれて、
元気な緑に癒されています。

ただ、このパキラどこまで大きくなるのやら・・・。
また鉢を買わなければならないかも?

※パキラは比較的育てやすい植物なので私の苦手意識を取ってくれるのに
  丁度良かったのかもしれません。

2012年8月24日金曜日

ヘッドハンター


【あらすじ】
優秀なヘッドハンターだが背が低い事がコンプレックスなロジャーは
美しい妻を喜ばせ贅沢な生活をするため、裏稼業として美術品窃盗を繰り返していた。
綱渡りながらも優雅な生活を送っていた彼だったが、ある出来事をきっかけにどんどん
追い詰められていくことに・・・。

今年2作目のノルウェー映画。
前回観た作品は「孤島の王」は、どこまでも寒々しく、重々しく、淡々と凄惨な描写が
続いていく悲劇の物語でした。

北欧映画と一括りにするのはいかがなものかとは思いますが、
スウェーデン映画の「ぼくのエリ」や「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」などは
やはり、「孤島の王」と同じく、シリアスでダークな色合いの強い作品でした。

それ以外でも、15年くらい前に観たフィンランド映画「浮き雲」なども、
物語の大半が淡々とした救いの無い描写で占められ、観ているこちらが
遣り切れなくなってくるといった作品でした。
(しかし、この作品は素晴らしいオチが付くので、救われるのですが)

さらにさらに、今年どっぷりハマりまくっている(現在進行形)「TTSS」も
監督はスウェーデン人であり、その作風はやはり英国作品ではあっても、
北欧色の強い作品だなと思っています。

というように、北欧系映画=暗い、重い、寒い、淡々というイメージが強く
ついてしまっていました。

が!が!が!

ここに来て、全く新しい北欧映画が登場しました!

ジャンルとしてはサスペンススリラーという事になるのでしょうが、
最初は優秀でしたたかな主人公が一転どんどん追い込まれてからの
展開のむちゃくちゃぶりが、本当に凄すぎてハラハラドキドキの連続!
そして、全編に散りばめられた伏線が見事に回収される様は快感です。
(※劇中なかなかの過激シーンがあるので苦手な方はスルーした方が良いかも・・・)

確かに若干ご都合主義的な展開もあるのですが、スリリングに描かれ
いるだけに、余り興ざめな感じはしないのです。

こんなに面白いエンターテイメント作品が北欧にあったのか!と
驚くと同時に今後もいろんなタイプの北欧系映画を観る事が出来たらと
思いました。

とはいえ、実はこの作品、こんなに優良作品にも関わらず、
1館、二週間限定レイトショーのみという物凄く短い上映期間なのです・・・。
(実は今日で上映が終わってしまいました)
しかも、フィルムではなくブルーレイでの上映。

できればもっと長く上映して広くいろんな方々に観て欲しかったなと思います。

しかし、洋画が上映されにくくなっている昨今、ハリウッド作品でさえDVDスルー
される現状を思えば、2週間だけでも上映された事を喜ぶべきかもしれません。

もうすぐ上映は終わってしまいましたが、もしDVDで発売&レンタルされる事が
あれば、観て損は無い作品、おすすめです!

※どうもハリウッドリメイクが決定したようです。
※邦題は「ヘッドハンター」ですが、これ原題の「ヘッドハンターズ」の方が良いと思います!
  というのも意味の違うヘッドハンターが2人出てくるからです。

見慣れた街の見慣れぬ景色

お盆も過ぎてすっかり8月も終盤です。

グラスの中に溶け残った夏という季節の濃さを思わせるような
気温と湿度は身体に堪えます。

これからまだ残暑が厳しくなるのかと思うとちょっとうんざりしてしまいます。

話は遡って7月上旬、度々録画した映画やドラマをダビングして貰っている
友人宅に遊びに行く際、ちょっとしたお礼の品を用意し、その粗品に感謝の
メッセージをポストカードに書いて添えました。

気を使わないで!と恐縮した友人でしたが、持って行った品も勿論喜んでくれた
のですが、それ以上に添えたポストカードを気に入ってくれたのでした。

私が添えたポストカードとは「相田諒二」氏という新潟在住の写真家のもの。

確か20年程前だったでしょうか、私の大好きな古町の雑貨屋さんで見つけて
購入したのでした。

その写真には実際の風景とはまた違った趣のアングルと色味と輪郭で
彩られた新潟の街が映し出されていました。

写真家の方の作品にはそれぞれその1枚で多層的な物語を語る力が
あると思っています。
ずっと眺めていると、こういう人物が住んでいて、こんな曲がバックに
流れていて、こんな匂いが漂っていて・・・そしてこんなドラマティックな
物語が紡がれていくのでは・・・というような感じ。

相田氏の写真もまさにそんな作品です。

見慣れた街の風景なのに、全く別の街がそこには映し出されていたのです。

え、あそこがこんなにドラマチックな顔を持っていたなんて!
何だか安心しきった関係の中に急に不穏なまでにスリリングな瞬間を見せられて
戸惑うような、それでいてときめきにも似たような変な感覚に囚われたのでした。

そんなことを思った頃から時を経て、少しづつ少しづつ使ってきたポストカードが
残り少なくなって来た今、友達から「とっても気に入ったので今度帰省した時に
購入して来てくれない?」との申し出。

私も丁度残り少なになっていたこともあり、自分の分もと思い古町に出かけました。

以前購入した雑貨屋さんがお店を閉じられた事は何となく知っていたので、
きっと、ここにはあるかも?無くても何かしら相田氏の情報を知っていらっしゃるのでは?
と思い、伺ったのが以前このBlogでもご紹介した
hickory03travelers」という雑貨屋さん。

こちらはオリジナルデザインのTシャツや小物、雑貨類を扱っているお店ですが、
それが新潟に関連した素材やデザインなのです。
(県外の作家さんのものも扱っています)

ですので、きっと相田氏のポストカードも扱っているに違いない!と当たりをつけて
伺ってみたのでした。

それにしても、突然「相田諒二さんのポストカードを扱っていますか?」という私の
問に、最初はびっくりしていたスタッフの方でしたが、すぐ分かってくださいました。

しかし、私が以前購入した雑貨屋さんがお店をたたむ時に、在庫としてあった
ポストカードを受け継いのですが、仕舞い込んでしまっていてちょっと所在が
分かりません・・・とのご返答。

お忙しい中、探して下さっただけで十分でしたので、ちょっと残念でしたが、
また機会があったら購入したいですとお話してお店を後にしました。

そして帰宅しようと歩いていると後ろから急に声をかけられました。
驚いて立ち止まると、そこには先ほどのスタッフの方が!

「ポストカードありました!」

物凄く暑い中を、息を切らせて走って追いかけて下さった事にも驚きましたが、
私がお店を後にしてからも品物を探して下さった事に本当に感激してしまいました。

そしてまたお店に戻り、友人の分と自分の分の2セット無事購入できました。
(丁度在庫が2セットしかなかったのも奇跡的!)

相田氏の新潟の街に向ける視線の新鮮さと、雑貨店のスタッフの方の
お客様に対する誠実さに、暑さを忘れて清々しい気持ちになりました。



今回は街歩きをする時間が無かったのですが、このほんの数十分の
やり取りでまたこの街の持つ魅力を感じさせてもらいました。

2012年8月8日水曜日

ローマ法王の休日


【あらすじ】
ローマ法王逝去により新しい法王を選ぶための法王選挙(コンクラーヴェ)が
開催された。各国から集まる枢機卿たちは「どうか私が選ばれませんように!」
と心の中で祈っていた。
そんな中選出されたメルヴィル。すぐさまバルコニーに出て大観衆の前で演説
をしなければならなかったが、極度のプレッシャーから逃げ出してしまい!?

映画を観に行くと本編が始るまでこれから上映予定作品の予告編が放映されます。
私はこの予告編も大好きで、その予告編からその作品に対して様々な
想像を巡らすわけです。
各所繋ぎ合わせられたシーンの断片から、想像力が膨らんでいく
楽しさは、本編の楽しみとはまた別の面白さ、楽しさがあると思います。

ただ、その予告編のなかで、たった数分の予告編なのに、その作品の
ラストまで分かってしまうようなものもあります。
いわゆる予定調和な作品。

こういう性格の登場人物で、こんな事がきっかけで物語が始り、
だいたいこんな感じで話が転がっていき、で、結末はきっとこうなるかもね・・・。
という感じ。

で、そんな作品かも・・・と思いつつも、期待して観てみて、その想像から
1ミリもズレることなく、想像通りの作品だった時のあの「まあ、そうですよね・・・」
という何ともいえない拍子抜けというか、落胆する気持ち。

駄作というわけではないのです。
作品として素晴らしいとも思うのですが、やっぱり私の想像の範囲内という
作品はどうしても、ちょっとだけがっかりする気持ちが湧いてしまうのです。

例えば、アカデミー賞受賞作の「英国王のスピーチ」は、
まさにそんな作品のひとつ。
このBlogでもレビューしましたが、本当に良いお話だったし、いろいろ示唆的
なエピソードが含まれている作品だと思うのです。
が、徹頭徹尾予告編を観た時に想像した通りの作品だっただけに、ちょっと
「あ、そうですよね、そうなりますよね・・・」という気持ちになったのでした。

ところで、この「ローマ法王の休日」
予告編を観たときは、ああ、きっと数十億人と言われるカソリックの頂点に
立つプレッシャーに耐えかねた新法王様が逃げ出して、街をさまようなか
人々の暖かさに触れ、気を取り直し法王となることを決意するーというような
お話なのね。と思ったのですが・・・。

これがもう全く驚くほど全然違っていて本当にビックリしました!

こんなに予想が裏切られる事もないくらい驚いてしまって、観終わった後、
呆然としてしまいました。

しかし、私はこの作品がとても面白かったです。
最初は予想に近いコメディタッチな描写もそこかしこに
差し挟まれていて、クスクス笑いながら軽い気持ちで観ているのですが、
面白いシーンなのに、法王様のことを周囲は全く理解してくれないことに、
どんどん切なくなるのです。

ラストは本当にえ!というようなびっくりする結末なのですが、
私個人としては、この結末で良かったと心底思うのです。

やはり善(正義)なるものを背負わされる事というのは何と
辛いことなのかということをしみじみ思わずにはいられません。

実は、先日「ダークナイトライジング」を観たのですが、その時も
正義を背負う事の辛さと苦悩を思っていたところでしたので、
奇しくも同じようなテーマの映画を続けて観たことになりました。


それにしても、この作品をよくヴァチカン(カソリック)が許したものです。
特に結末は、かなり物議を醸しそう。

ラストは物議を醸すかもしれませんが、私はこのラストに清々しさ
さえ感じてしまいました。


※「ダークナイトライジング」については盛りだくさんな内容でしたので、
  もう一度観てからレビューしようと思っています。

ローマ法王の休日
http://romahouou.gaga.ne.jp/

2012年7月21日土曜日

善悪の視座


「まちたび」などと銘打っておきながら、最近は街の紹介を全くせず、
映画の話題ばかり・・・。

それというのも、ここ数年来なかった程今年は映画に関するTopicsが多くて
畢竟エントリーのテーマになってしまいます。

さて、また映画に関するTopicsで恐縮ですが、昨日飛び込んで来たNewsに
ついて、思うことを少し書き留めておこうと思います。

このBlogでも先日触れたバットマンシリーズの最新作にしてトリロジーの
完結編である「ダークナイトライジング」が米国にて20日先行上映されました。

その悲劇はまさにその先行上映中に起こってしまいました。

コロラド州の映画館にてダークナイトライジング上映中にコロラド大学の
医学部大学院生によって銃乱射事件が起こってしまったのです。

12人が亡くなり50人以上が負傷。

犯人は自分はジョーカーであると供述しているとか・・・。

医学部の大学院生ということは、既にいい歳をした大人。
しかも、医学を志すエリート。

何故そんな事件を引き起こしてしまったのか全く理解に苦しみます。

確かに「ダークナイト」という作品の中のジョーカーは、今までに類を見ない悪役。

演じたヒース・レジャーの役作りと演技により、普通ではあり得ない設定
(いわゆるコミック的悪役)の人物像を、まるでこの世に存在しているかの如く
成り立たせていました。

しかも、その人物像の禍々しさはヒーローの反転とでも言う程輝いていた
せいで、この作品を伝説とすることが出来たのだと思います。

こう書くとジョーカーを賛美するようで、犯人の医学生と同じように
思われるかもしれませんが、全く違います。

悪役が禍々しくあればある程、それに挑んでいくヒーロー(個々人の正義感)
が強く立ち上がってくるのだと思うのです。

確かに、前作ダークナイトでは、一見ジョーカーが勝ったようにも思える
ラストでしたが、あくまで今作への布石でもあるだろうし、また、正義とは
そんなに単純なものではない、という今まで余り語られることのなかった
そもそも正義とはという問いかけがなされるためだったのではないかと
個人的には思います。

とはいえ、今回の事件は起こってしまったわけで、フィクションと現実を
混同してしまう人がいるということもまた現実なわけです。

しかし、それでこれから作られる作品が規制されたり、作り手たちが
怯んでしまうことが無い事を心から祈りたいと思います。

ダークナイトは今回の事件を誘発するような内容であったわけではないし、
また演じたヒース・レジャーも自分の真似をして人を傷つける人を作りたかった
わけでな決して無いと思うのです。

この事件を受けて、パリ含めそれ以降に予定されていたプレミアイベントは
全て中止になってしまいました。

この作品をずっと待ち望んでいたファンがその完成を祝うお祭りを
台無しにしてしまったひとりの人間に対して、本当に憤りを感じずには
いられません。

ただ、今回の事件を含めてこのシリーズで語られている正義や善悪という
価値観、個人の中の葛藤などを再度個人の問題として引き寄せて
考えてみたいと思いました。

コロラドの事件でお亡くなりになった方々には心からお悔やみを、また
負傷した方々には一日も早い回復を願ってやみません。

日本では来週の土曜日28日からロードショーが、また27日(金)には
先行上映が開始されます。